道の駅ぽんまる開発手順書 ・ 第5回
#5 審査通過からリリースまで — 契約の確認と、11日で出した記録
前回、リジェクトを受けて約1時間で再提出しました。この回でシリーズは完結します。
目的
審査を通し、App Storeで配信を開始すること。そして最初に立てた検証に答えを出すことです。
コードが書けない人間が、証明書・署名・ビルド・審査を回せるか。
手順
1. 審査通過
再提出から約3日で、Appleから “has been approved for distribution” が届きました。支払いから通過まで4日です。
これで、戦略の根幹にあった最大の未知が解消されました。
回せる。 証明書・プロビジョニング・ビルド・アップロード・ストア情報の投入・審査対応・再提出まで、一度もコードを手書きせずに通した。
実測できた数字を残しておきます。
| 論点 | 結果 |
|---|---|
| Windowsのみで iOS アプリを審査通過まで持っていけるか | できた。Macは一度も使っていない |
| リジェクトからの復帰コスト | 約1時間(大半が待ち時間) |
| 審査の所要 | 初回:提出→自動リジェクトまで約12時間/再提出→通過まで約3日 |
2. 通過 = 配信ではない
前回、リリース方式を手動にしていました。なので通過しても自動公開されません。公開の判断が一段残っています。
そしてAppleのメールに、こういう警告が入っていました。
If your contracts are not yet in effect, your app cannot be distributed. (契約が有効でなければ、アプリは配信できません)
公開ボタンを押す前に、契約・税金・口座の状態を確認する必要があるということです。
3. 契約状態を確認する
App Store Connectで確認しました。
| 契約 | ステータス |
|---|---|
| 無料アプリ契約 | 有効 |
| 有料アプリ契約 | 新規(未署名)。無料アプリには不要 |
提出前に「無料アプリなら銀行口座・税務情報の登録は不要」と判断していましたが、確信度は「おそらく」でした。実物で裏付けが取れたので、ここを「確定」に更新しています。
課金を入れる段になって、初めて有料アプリ契約と口座・税務情報が要ります。
なお、EU(DSA)のトレーダー申告の警告も表示されていましたが、これはEU配信時の要件です。日本のみ配信なので該当しません。
4. 公開
v1.0.0(ビルド3)をリリースしました。ステータスは「配信準備完了」。App Storeへの反映は最大24時間とAppleが案内しています。
企画の起案から11日でした。
つまずいた点
期限付きの設問を、推測で埋めなかった
提出時、年齢制限の新しい設問(「13歳未満のユーザに対するソーシャルメディアの利用不可」)に答えていませんでした。回答期限は約1ヶ月後です。
このアプリにソーシャル機能は無いのですが、どちらを選んでも実態とずれます。
- 「はい(13歳未満は利用不可)」→ 機能が存在するように読める
- 「いいえ」→ 無制限に使えるように読める
機能そのものが無い場合の正解が分かりませんでした。加えて、審査中に年齢制限の申告を変えると提出に影響する可能性もあります(確信は持てていません)。
なので推測で埋めず、審査完了後に触ると決めて、期限までの猶予を使いました。
分からない申告は、期限を確認したうえで「後回しにする」という選択肢がある。 急いで埋めて、実態と違う申告を残す方が危険です。
「出せた」と「売れる」を混同しない
通過した時点で、検証されたのは「出せるか」だけです。企画段階で書いた期待値——上位2本が3,000件台の領域で、現実的に狙えるのは数百〜1,000件——は一切変わっていません。
ここを混同しないよう、意識的に書き分けています。
成果物
全体の記録
| 日 | 出来事 |
|---|---|
| 1日目 | 領域選定・データのライセンス確認 |
| 8日目 | ADP登録(12,980円)→ 同日提出(ビルド2) |
| 9日目 | リジェクト(権限の説明文)→ 約1時間で再提出(ビルド3) |
| 12日目 | 審査通過 → 契約を確認してリリース |
確定した再利用可能な資産
このシリーズを通して残ったのは、アプリ1本ではなく型でした。
- 技術スタック(Expo SDK固定・EAS Build・Windows運用)
- 提出前チェックの手順(expo-doctor / tsc / テスト / アイコンのアルファ / スクショの枠)
- 権限の説明文の書き方(用途 → 具体例 → 保存先 → 外部送信の有無)
- ストア文言の設定ファイル化(
store.config.json+eas metadata:push)
2本目のとじまるは、この型の上に乗せて作っています。1本目のコストは1本分ではありません。
まだ検証されていないこと
出せた。売れるかは別問題です。
現在は観測期間として、ダウンロード数の推移を見ています。測定はApp Store Connectのアプリアナリティクス(実装不要・無料)。ここで数字が出れば課金機能の実装に進み、出なければ別の判断をします。
その結果も、いずれこの手順書に書きます。
道の駅ぽんまるは無料で公開しています。よければ触ってみてください。
この手順書の「実物」版
ここまでの記録は物語として書いています。実際に使ったファイルそのものは、有料記事にまとめました。
- 審査に通った設定ファイルの全文(
package.json/app.json/eas.json/ ストア文言) - 審査メモの全文と、却下への返信文の型
- リジェクト4回の全記録(何が届いて、本当の原因は何で、どう直したか)
- つまずき67件の逆引き表(症状 → 原因 → 対処)
- 提出前チェックリスト
稼ぎ方は書いていません。 2026年9月8日時点のダウンロードは、道の駅ぽんまるが公開26日で36件、とじまるが6日で7件です。売れる方法は、まだ分かっていません。
→ Windows1台・コード0行でiOSアプリを2本App Storeに出した全記録|審査4回リジェクトの原文と、通った設定ファイル(3,980円・Brain)
同じ記事を note でも同じ価格で出しています。安い経路はありません。