とじまる開発手順書 ・ 第1回
#1 競合調査 — レビュー2,488件を読んで勝ち筋を決める
「とじまる」は、指定したアプリを一定時間開けなくするiOSアプリです。このシリーズでは、企画からリリースまでの過程を、あとから誰かが再現できる手順書として公開していきます。
第1回は、作り始める前にやった競合調査です。
目的
「アプリロック」は先行アプリがひしめく領域です。作る前に決めたかったのは次の2つでした。
- この市場に、個人開発者が入り込む隙間はあるのか
- あるとしたら、何で差をつけるのか
手順
1. 競合アプリを洗い出す
App Storeで「スマホ依存」「アプリ 制限」「スクリーンタイム」などの検索キーワードから、主要なアプリロック系アプリを12本リストアップしました。ランキング上位だけでなく、検索結果に繰り返し出てくるものを拾います。
2. レビューを集めて、不満を分類する
12本のレビュー2,488件を集め、低評価レビューを不満のカテゴリ別に分類しました。結果は次のとおりです。
| 不満カテゴリ | 割合 |
|---|---|
| 効かない・バグ | 24% |
| 課金への不満 | 15% |
| 広告への不満 | 13% |
3. 「勝ち筋」を読み取る
分類から見えたのは、機能競争ではなく信頼性競争だということでした。
- 最大の不満が「効かない・バグ」ということは、動作が安定しているだけで上位に立てる
- 広告への不満も根深い。象徴的だったのは「YouTube断ちを決意したのにTikTokの広告が出る。デトックスになっていない」という1つ星レビュー。この種のアプリに広告を入れるのは自己矛盾だと分かる
- 強制力の強さやキャラクターは、すでに先行アプリが取っている。そこで戦わない
4. ターゲットの空白を探す
競合はほぼ全社が「勉強・受験」向けの訴求でした。社会人向け(副業・資格・集中)の訴求が薄いことが分かり、ここをターゲットに決めました。
つまずいた点
調査時点では「ロックを破るなら解除料を払う」という課金モデルを考えていました。先行アプリに消耗型課金で審査を通過している前例があったためです。
しかしこのモデルは、後にApp Storeのガイドライン(3.2.2: 個人の目標を達成できなかったときに金銭を課す機能の禁止)で成立しないことが分かり、コンセプトごと作り直すことになります。審査ガイドラインの確認は、課金モデルを決めた瞬間にやるべきでした。 この顛末は別の回で詳しく書きます。
成果物
この調査から、とじまるの方針が決まりました。
- 穴の少なさで勝つ — 機能を増やすより、抜け道と不具合を潰すことに時間を使う
- 広告は入れない — デトックスアプリに広告は自己矛盾
- 社会人向けに作る — 競合の訴求が薄い空白地帯
→ とじまるの紹介ページはこちら
この手順書の「実物」版
ここまでの記録は物語として書いています。実際に使ったファイルそのものは、有料記事にまとめました。
- 審査に通った設定ファイルの全文(
package.json/app.json/eas.json/ ストア文言) - 審査メモの全文と、却下への返信文の型
- リジェクト4回の全記録(何が届いて、本当の原因は何で、どう直したか)
- つまずき67件の逆引き表(症状 → 原因 → 対処)
- 提出前チェックリスト
稼ぎ方は書いていません。 2026年9月8日時点のダウンロードは、道の駅ぽんまるが公開26日で36件、とじまるが6日で7件です。売れる方法は、まだ分かっていません。
→ Windows1台・コード0行でiOSアプリを2本App Storeに出した全記録|審査4回リジェクトの原文と、通った設定ファイル(3,980円・Brain)
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